小学生時代に、急性膵臓炎にかかって、町医者では対応できなくなり、大病院に入院しました。急性膵臓炎は、大人でももがき苦しむような、痛くてたまらないほどつらい病気なのです。

入院したてのときは、ただ痛みのことしか考えられず、とにかく苦痛を取り去ってくれることだけを願っていました。大病院では専門家がすぐに対応してくれたおかげで、早々に楽になれたのです。

しかし、微熱のある間は退院することができず、家族や友だちがお見舞いに来てくれるのが嬉しくて仕方がありませんでした。特に本が好きだったので、漫画本や小説の差し入れは、何度も読み返しては空想しつつ、時間を過ごしていました。

二学期が始まっていたので早く学校に行かなければならないのはわかっていましたが、ベッドの上での空想の時間が、何よりも楽しくなっていたのです。

また、大病院には小さな図書室があったので、自分で点滴の機材を片手に、何度も通い、本を借りました。皮膚がんからの転移で長期の放射線治療を行なっている方と図書室友達にもなれました。約一ヶ月ほどの入院でしたが、読んだ本の数は何十冊にも及ぶものでした。物語に勇気づけられるという経験をしたのは、このときが初めてだったと思います。